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前回までは、猫は室内で快適に過ごせる演出・工夫をすることこそが「動物福祉」の第一歩に繋がるという趣旨の発信をさせていただきました。
今回は、室内飼養におけるケージ飼いが、どのように動物福祉に繋がるのかを考えたいと思います。
「猫を室内に閉じ込めておくだけなんて!」と言う方から見れば「室内中の室内」であるケージの中に閉じ込めることは抵抗感が大きいのかもしれません。そこで私たちブリーダーだからこそわかっているケージの必要性をご紹介したいと思います。
動物の出産〜子育ては、必ずしも安全な状況が叶うものではなく、野生動物の成体生存率(=成熟個体として生き残れる割合)は、極めて低くその野生環境に居着いている野良猫も同じように、殆どは成体になることができません。
このように出産から授乳期は、母子共に無防備な状況にあることにはじまり、人がその安全を保持する有効なアイテムの一つがケージであり、そこが子猫たちにとって生まれ育った最も安心できる「家」なのです。
私たち人間が言う室内(ケージ外)は、猫にとってはある意味では、室外と考えると良いでしょう。
当舎では、子猫の成長に合わせてケージ外へ少しずつテリトリーを拡大してあげながら、その健全性を育んでいます。勿論お引き渡しの際はオーナー様にもお伝えしています。

猫はよく辺りをクンクンと臭いを嗅ぎながら「パトロール」します。このパトロール行為の意味は一つは安全確認ですので、パトロールを行うということは、少なからずストレスも感じているということになります。
来客時などにテリトリー内で普段と違うことが起きると安全なケージに戻りたい意識が働くことをしっかりと理解してあげたいところです。
ペットショップ等の展示販売業で休憩時間を設けることや、営業時間の制限があることもストレスケアに関係しています。
猫にとって慣れた環境は、いつでも「慣れた状況」ではありません。そういう普遍化がとても苦手な動物だからこそ、いつでも帰れる安心な「(隠れ)家」を設けてあげることは、猫の習性をよく理解した上での動物福祉の基本だと思います。
必ずしもケージでなくても良いですが、常に安心できる居場所作りを考えてあげてくださいね。
[あとがき]
動物愛護週間最終日ですが、あまり有意義な発信は出来なかったかなと反省しつつ、これからも折に触れ、動物愛護週間でない期間も、動物愛護管理についての関心と理解を深めていただける発信が少しずつでもできればと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
「ひろく国民の間に命あるものである動物の愛護と適正な飼養についての関心と理解を深めるようにするため、動物愛護週間を設ける」(※動物愛護管理法第4条)